ペルシャ絨毯 覚え書きHOME > ペルシャ絨毯の構造
(しょっき、おりき、おりばた)手織り絨毯を作るためには、まず必要な道具です。構造はとても単純で、出来上がる絨毯の横の辺の長さより少し長い長さの二本の横棒(ビーム)を、出来上がる絨毯の縦の辺の長さより少しだけ長い位置に固定すれば、最低限必要な構成となります。
遊牧民の用いる織機は、多くは「水平機」と呼ばれ、最低限必要な構成に近いシンプルなもので、地面と平行になる水平に寝かせた状態でセットされます。織り手は機を前に、地面にしゃがんで絨毯を織り始めます。織りが進むと織り上がった部分に自分が乗って織り進む事になります。遊牧民の場合、織りかけの絨毯でも途中で営地を移動する場合もありますが、そのような場合でも固定を解いて織り上がった部分などを横棒に巻きつける事でコンパクトにして移動できます。遊牧民でも竪織を使う場合もありますし、最近ではトラックを用いた移動もあるようですので、織機の材料も金属製の物を使うことも多いようです。一様であるとはいえません。
町や村の作業場や工場での絨毯制作の場合には、主に「竪機(たてばた)」が使われる事が多いです。竪機も仕組みは同じですが、工夫を凝らし、便利な物が使われています。また、織りの技術に伴う必要な仕組みも加わりますので、多少付属の部品も増えます。まず、竪型の場合、手前(下)から織り進んでていくと、織り進むに従って「織っている部分」が上へと移っていきます。この場合、織機に特別な工夫がない場合、織り手を高い位置に上らせる手段が必要です。竪機の前の左右に梯子を向かい合わせに固定し、その梯子の段に板を渡して織り手がすわって作業が出来るようなベンチを作ります。作業箇所が高くなって来たら梯子に掛けた板も上の段に移してゆくのです。最終的には絨毯の縦の高さにまで織り手が上る事になりますので、大きなサイズの絨毯を制作する際には、織り手には不便で危険でもあったようです。
手織り絨毯の制作は、仕組みとしてはとても単純です。まず、必要な材料と道具を集めます。主に必要な材料は、縦糸、緯糸、パイル用の色糸の3つです。道具は織り機とナイフやハサミ、重たい櫛状の道具だけです。ナイフ付きの鉤針を使う織り手の場合は、それも用意します。織機は、簡単にいうと、縦方向(多くは長辺方向)のテンションを調節できる四角い枠です。この織り機の縦方向に数十〜数千(横幅分)列の縦糸を平行に並べて張り、その隣り合った二本の縦糸に毛羽となるパイル糸を絡めるように結んでいく作業を繰り返し、水平に隙間無くパイルの結びを並べていくのです。1列出来ると1〜3本の緯糸を通し、重たい櫛状の道具で均等に結びを叩いて詰め具合を調整します。これで絨毯が1列、数ミリ出来上がる訳です。これを繰り返し、数週間〜数年間という時間を掛けて織り進めていくのです。
パイル糸の結び方には幾つかの方法があり、イランや周辺の地域で行われているのは、ギョルデス・ノット、トルコ結びなど、と呼ばれる左右対称結びと、センネ(セネ)・ノット、ペルシャ結びなどとも呼ばれる、左右非対称結びの2つがあります。それぞれ土地に由来する名前がついていますが、実際には場所に関わらずイランでもトルコ結びが用いられますし、セネの町で絨毯を作るのはトルコ結びを用いるクルド系の方が多いそうで、近年では、書籍などによると左右対称結び、左右非対称結び の呼び方で区別する事が増えて来ているとあります。しかし、絨毯屋さんで使っているのは相変わらず、先に言ったような事は承知の上で、「トルコノット」とか、「ペルシャ結び」だったりしています。
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